日替わり定食

彼岸花

【摩耶の場合】

最後の客を送り出し、店の明かりを落して摩耶は一人
カウンターでブランディーグラスを両手で温めている

(・・・・・帰りたいなぁ~・・・)

帰ったところで故郷には待つ人とてなく 家さえも今はない

このネオンの街で泳ぐように生きてきた摩耶
本気で惚れた男もいた
裏切りも、争いも、計算も、嫉妬も、執着も・・
あらゆる波に揉まれながら
沈んだり 浮き上がったり 流されたりしながら
細い止まり木にしがみ付いているような現在

グラスに写る自分の顔をしみじみと見つめながら 摩耶は思う
私は何処へと流れていくのだろう?

店の壁に一枚の写真が 真っ赤な火の塊のような彼岸花の写真が・・・


きつねのかんざし はなちょうちん ちんちんどうろう おみこしさん
かじばな ひぐるま はなびばな
きつねのたいまつ のだいまつ
ふでばな じゅずばな いかりばな
どくばな へびばな いちじばな
おばけ かったろ みちまよい
ひりひりかっこ したまがり きつねのかみそり はなしぐさ
いっぽんかっぽん ちんからぽん・・・・・


夜の底にどんどんと沈んでいくような 小さな店の片隅で
摩耶は子供のように 涙を手で拭き殴り
ひとり 花の呼び名を繰り返す。
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 彼岸花

 花言葉  悲しい思い出
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by umiko0 | 2005-09-30 12:40 | | Trackback | Comments(0)
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